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トンレサップ湖
ホテルから湖まで約1時間。各遺跡に行く途中で見た強風が吹けば倒れそうな古くて汚い
高床式木造家屋のかわりに、新築の白くて大きな家ばかりが目に入った。ガイドの話では、こ の辺りは高級住宅街で、金を儲けた商人が住んでいるという。トンレサップ湖は乾期の4〜5 月になると面積は1/3になるので、水のある方に移動するそうだ。
水上生活者たちの家
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水は泥色。きれいな水を買ってきて飲んでいるのだろうが、この泥水で茶碗を洗っていた。ト
イレも湖に垂れ流しだそうで、水に潜って仕掛けをして網にかかった魚を船に上げていた。 ![]()
遺跡近辺の住人よりも生活は惨めそうで、母親らしい女性がいきなりモーターボートから
「ギブミーマネー」と手を伸ばしてきた。坊やが首から下げているのは大きな蛇で、どの母親も 必ず赤ん坊を抱いていた。シャツは着せているが、お金がないのでパンツが買えないとばか り、1、2歳の男の子のチンチンを高く掲げて見せている若い母親もいた。7、8歳の男の子 が、我々の走っている船にモーターボートから飛び移ってきた時は、びっくりした。片手に缶入 りのコーラやジュースが10本ほど入ったバッグを持っていた。誰も買わなかったのでまた猿の ように身軽にボートに乗り移って他の船を追いかけていった。
午後はオールドマーケットで時間を潰し、軽い夕食を取って空港に向かった。日中温度は
35℃以上あるのでシャツが濡れて冷たくなった。だからいつも持ち歩いて、バスに一人残って
シャツを変えた。バスでの移動時間も少なく、同一ホテルに連泊だったことは助かった。
ポル・ポトの遺した惨状からまだ回復しきっていない貧しい国だったが、素朴な人たちとホッと
する田園風景に触れて心安らぐ楽しい旅だった。 了 ![]() |