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不思議なことに、マドリッドではほとんど自転車を見なかった。坂が多いこと。盗まれること。ほ
とんどの人が2階以上に住んでいるので、持って上がるのが大変なこと、などが主な理由らし い。ダンプカーも少なかった。スペインはどこに行ってもクリスマス一色で、どのアパートのベラ ンダや窓にも、大きな袋を担いで梯子を昇っているサンタクロースが掛けてあった。街の樹や アーケードには飾りが取り付けられ、夜になると、いたる所で大輪の花が咲き乱れているよう に光り輝いていた。マドリッドにもスペイン広場があって、セルバンテスとドン・キホーテとサンチ ョ・パンサの銅像があった。
上:マドリッドの街角
メスキータ
マドリッドで一番楽しみにしていたのは、著名なスパイン人画家の名画を観ることだった。プラ
ド美術館には16世紀と17世紀の絵が中心に飾ってあって、ベラスケスに代表される宮廷画 家たちが暇と金をもてあます貴族階級に雇われて、美しい作品を描いている。ルーベンスの 「三美神」、ベラスケスの「ラス・メニーナス」、ゴヤの「ゴヤの着衣のマハ」と「裸のマハ」、「我が 子を食らうサトゥルヌス」、すぐ近くにのサント・トメ教会にあるエル・グレコの「オルガス伯の埋 葬」などである。この6枚の絵は、誰でも教科書などで必ず一度はどこかで見たことがあるはず で、「ラス・メニーナス」と「裸のマハ」の前では足が釘付けになってしまった。 ![]() |