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食事は一階の大広間でバイキング。散々食べて飲んだ後は、男たちの部屋に集まって全員
で二次会。いつお開きになったのかわからないほど酔ってしまった。翌早朝、温めのお湯に浸 っているうちに、アルコール分が抜けて頭もすっきり。朝食を食べてから船で桟橋へ。ホテルの 駐車場までバスで送って貰って出発。那智駅を左折して長く曲がりくねった道を上る。
熊野古道を思わせる鬱蒼とした杉木立を抜けると、毎秒1トン、幅13m、高さ133mの日本
一の滝が全貌を現した。轟々とした音と水量に思わず圧倒される。たまたま数日前の産経新 聞に〈フランスの作家アンドレ・マルローが実際に滝を見上げて「私はめったに自然というもの に感動させられたことはなかったが、滝はまさしく神だと思った」と漏らしたという。西洋人のマ ルローも自然の中に熊野古道を歩いてきた参詣者たちが感じた、自然への畏敬の念を理解し たということか〉と書いてあった。
その後、車で細い坂道を上って、熊野三山の一社である熊野那智大社へ。平安時代中期か
ら鎌倉時代後半にかけて、熊野の神への信仰が庶民まで広がり、蟻の熊野詣でといわれるほ ど熊野古道には人の往来が絶えなかった。京都から熊野までの距離は往復700km。1ヶ月 以上かけて歩いたそうだ。よく熊野九十九王子と聞くが、王子というのは熊野詣での道しるべ であり旅の疲れを癒す休憩所でもあったようだ。
最初に、西国三十三所の第一番札所である青岸渡寺(せいがんとじ)に詣でる。青岸渡寺と
は彼方の地に浄土があるという意味で名付けられたという。すぐ隣が熊野那智大社で、朱塗り の拝殿が社を取り囲む深い緑の中にいかにも鮮やかだった。 ![]() |