那智大社から熊野本宮までは遠かった。新宮で４２号線を左折し熊野川に沿って十津川街道
を進む。那智大社を出てから約２時間、やっと熊野本宮に到着した。ここから拝殿までは長い
石段で、１２９段あるという。先生の健やかさにまた仰天。石段を息を乱すことなく一番先に上
って、我々を待っている。さすがにマチュピチュ以外の世界遺産はほとんど見たというお元気さ
には恐れ入った。

　ここに来たのは２度目だったが、古色蒼然とした社殿には他にない荘厳なものがあった。

 

　境内の蕎麦屋で食事してから、３１１号を通って一路白浜へ。空気が澄みきっているせいか、
紅葉した山々がびっくりするほどきれいだった。

　最後に白浜温泉ランドで露天風呂から太平洋の黒潮と親潮の境目を見て殿様気分に浸り、
レストランで美味い生ビールを飲んで食事する予定だったが、「これ以上温泉に浸かったら湯
あたりしそう。それよりも“コネクティング・ルーム”の舞台になったあなたの家とスナックに案内
して。食事は昨日のとれとれ市場がいい」との要望で、急遽田辺へ。

　旧我が家はきれいに使われていて安心した。スナック喫茶“マクセル”にコーヒーを飲みに寄
ったら、大ママも小ママも大喜びで迎えてくれた。特に別れ際、ママは涙ぐんで……元気でな、
という。また、田辺人の人なつこさと情の深さを感じた。

　とれとれ市場で刺身６皿と生け簀で泳いでいるマダイを２匹刺身にしてもらってビールで乾
杯。マダイはコリコリしていて甘みもあり、南紀最後の晩餐にはぴったりだった。

最後に！

　天候が荒れ、南紀らしくてよかった。景色も、料理も、風呂も、そして何よりも気心の知れた
仲間同士だったのがよかった。楽しい旅行でした。　満足！　　　　　　　　　　　　　完