クジラ ショー





   島めぐりの船は、太地くじら浜公園に寄港する。ここで下りてくじら博物館に入った。太地
は捕鯨の基地として三百数十年の歴史を持っている。それだけに捕鯨船資料やくじらの生態
に関する資料は約1000点。1〜3階まで吹き抜けになった館内中央にある15mのシロナガ
スクジラの実物大の見本は迫力があった。入り江の中に作った天然のプールでのクジラのショ
ーは見事だった。写真上は指導員の合図で空中に飛び上がったまだ幼いクジラたち。下は自
慢そうに尻尾をあげて観客に合図しているところである。
 本州最南端部にある橋杭岩、潮岬、串本、周参見地域は豪雨で有名である。途中、ワイパ
ーを最速にしても前がよく見えないほどの激しい雨に見舞われた。一時間ほどして山並みを外
れたら、嘘のように雨が止んだ。地面も濡れていないみたいである。時間があったので、白浜
の とれとれ市場 に寄って刺身を食べ夕食を取った。刺身は相変わらず美味かった。

 飛行機の中で、コーヒーを持ってきた客室乗務員に、昨日羽田からの一便は飛んだのか訊
いたら、最近では客室乗務員としては珍しいその美人は通路に膝をついて、まるでJALの責
任者であるかのような平謝りぶり。別にあなたに責任はないのだからと言っても、申し訳ないと
いう態度でますます辞を低くするばかり。しかし、不思議なことに丁寧な言葉とは裏腹に、謝っ
ている気持ちは伝わってこなかった。
 帰りは羽田から聖蹟桜ヶ丘駅まで、リムジンバスで帰ってきた。たったの50分。早速来年1
月に羽田からカンボジアのアンコールワットに行くことにした。空港でバスを待っていたら先程
の客室乗務員がチーフの乗務員と通りかかった。やあ、と言ったが、目が合ったのに知らんぷ
り。機内では話もしなかったチーフが、ありがとうございました、とにっこり。機中でのバカ丁寧
なあの謝りぶりは、マニュアル通りだったのかと、倒産企業の一端を見た思いがした。倒産前
は羽田〜南紀白浜までバーゲンフェアで片道9、800円だったのが今回は先取り割引で16、
500円。運賃とサービス面で、これからは新幹線と紀勢本線で行くことになりそう。 (了)

 紀の松島 めぐり                                    那智勝浦へ