島の上にポツンと建っている中の島ホテル
山上のグランドらしき所が展望台
和歌山県田辺市の三壷崎海水浴場から徒歩数分の所に叔母の家があった。
田辺湾を挟んだ三キロほど向こうが南紀白浜で、夜になると煌々と温泉街の
灯が見えた。子どもがいなかった叔母は、そこを枝家の跡取りである私に遺し
てくれたのである。
それ以来十数年間は窓や戸を開け放って家の中に風を通し、柱などが
シロアリの被害にあわないよう、年に最低三回は行って掃除したり、対シロ
アリ用の薬を散布していた。しかし、通うのが段々億劫になって、八年ほど
前に売却してしまった。
その間、白良浜、千畳敷、平草原、三段壁、円月島、南方熊楠記念館、
風呂が男女２０湯ほどある白浜温泉パークには、友人たちを案内して何回
行ったかしれない。温泉パークでは友人たちと露天風呂に入り、あがって
から美味い刺身を肴に生ビールを飲み、歓談した楽しさが忘れられない。
南紀勝浦の那智の滝、熊野那智大社、青岸渡寺、熊野本宮なども頻繁に
行った。しかし、今まで行きたいと思いながらそのチャンスがなかった、中の島
ホテルに一泊して紀の松島めぐりや太地くじら博物館行を実現しようと、一日
なら何とか有休が取れるという長男を誘って、家内と三人で叔母の墓参り
かたがた出かけることにした。