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11月7日(日)9時発の便に乗るため、一時間前に羽田空港の搭乗口に行って軽食を取りな
がら時間が来るのを待った。9時ちょっと前、白浜空港は天候不良のため、出発が30分ほど 遅れそうだ、とのアナウンスがあった。声が南紀白浜行きの搭乗口しか聞こえないようになっ ているのか、はっきり聞きとれない。その後9時半になってもなんのアナウンスもないので、乗 客たちがそわそわし出した。何人かの乗客が、係員に「天候不良というのは風か雨か?」と確 認している。「雲です」との答え。私も空港にレンタカーを待たせてあるので、気が気ではない。
「雲があったって、レーダーがあれば、着陸できるのではないか?」と言ったら、言葉を濁して
係員同士で話している。そのうちに、整備不良の箇所が見つかったので修理しているとのアナ ウンス。頭にきて、「時間が遅れているのは天候のせいではなくて、整備不良が原因じゃない のか」と50代の責任者らしい男に言ったら、「両方です」との答え。
結局、何時に離陸するのか回答が得られぬまま、関西空港から白浜までの電車賃6000円
入りの封筒を貰って「関西空港」行に乗らざるを得なかった。レンターカー会社には途中で連絡 し、南紀白浜駅まで来てもらい、叔母の菩提寺に直行した。飛行機が予定通り飛んでいれば、 白浜着が10:20のところ15:00。5時間近い無駄である。街灯もあまりない曲がりくねった暗 い熊野街道を抜けて、運転しやすい明るい街中に入ったときはホッとした。 ![]()
中の島ホテル (送迎船より)
勝浦桟橋にあるホテルの駐車場に車を駐めて専用の送迎船に乗った。ホテルまでたった3
〜4分である。忘帰洞や玄武洞で有名はホテル浦島は、すぐ左手の島にある巨大なホテルで ある。忘帰洞の広さは1000平方メーター、天井までの高さが22mもある。紀州藩主徳川頼 倫公があまりの景色の佳さに帰ることを忘れてしまった、というのが名の由来である。
昼間なら、忘帰洞の眼前には広大な熊野灘が拡がり、いくつもの小さな島が熊野灘に遠く霞
み、波が岩礁に当たって白波を立てている。熊野灘がちょっとでも荒れていると波が押し寄 せ、海ギリギリにある風呂に飛沫が飛び込んでくる。いつ入っても、すぐ近くで海賊たちが酒宴 を開いているような古代のロマンと荒々しさを感じさせる。
中の島ホテルにも藤本義一が名付けたという 潮聞の湯 という露天風呂がある。湯に浸か
っていたら潮騒が聞こえ、空から鳶の声が降ってきた。品があって、評判通りの素晴らしいお 風呂だった。 ![]() |