立山・アルペンルート








         
        立山・黒部アルペンルート




    黒部ケーブルカー 
    左下に見えるのが黒部湖駅、右に見えるのが黒部湖の一部
                                      

  もう15年程前、扇沢の駐車場に車を駐めて関電トロリーバスで黒部ダムまでに行ったこと
があった。室堂まで行きたかったが、時刻表を見たら帰りの最終トロリーバスに乗れそうもなさ
そうだったので、やむを得ず黒部ダムを観ただけで帰ってきた。
 あれ以来機会があれば室堂、大観峰まで行ってみたいと思っていたが、たまたま新聞で「一
泊二日。黒部峡谷・立山黒部アルペンルートツアー」の広告を見て、参加することにした。

 8月23日。連日の猛暑からは考えられないような涼しい日だった。我々は府中駅からバスに
乗車。立川と八王子で乗ってきた客でバスはほぼ満員となり、関越・上信越・北陸道経由で宇
奈月に向かった。軽井沢を通り過ぎた頃から断続的な雨となり、黒部峡谷トロッコ電車の始発
駅である宇奈月駅に到着した頃は、途中で電車が停まってしまうのではないかと危懼されるほ
どの豪雨となった。
 ガイドの話では、乗車時間は片道1時間。トロッコは屋根しかなく、窓がないので椅子さえびし
ょびしょになる虞があるという。それなら中止にした方がいいと言ったのは、46人中、私たち夫
婦も含めてたった5人だけで、折角、来たのでそれでも行きたいという人たちが圧倒的だった。
 我々は言った。
「往復二時間もこんな強い雨に打たれていたら、風邪をひいてしまう。自由行動にしよう。我々
は美術館を見学したり、喫茶店でコーヒーを飲みながら、皆さんが帰ってくるのを待っている。
トロッコの運賃は返して貰えなくて結構だ」
 ガイドはじっと考え込んでいたが、相談してくると言って、駅に入っていった。鉄道会社と交渉
したら、さらに往復で一人1040円出せば、窓ガラス付の車輌を用意してくれそうだ、と言う。
 結局、満場一致で、乗ることになった。
 バスを降りて傘を差す、そのちょっとした間に、濡れてしまうほどの篠つく雨である。その上、
晩秋になったような寒さだった。全員がバスの中で、それぞれ持参してきた上下の合羽を着込
み、傘を差して駅に入った。

 目次                                              黒部峡谷