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山を下りて足湯体験後、クアラセランゴールへ。ゆっくり食事して十分暗くなってから旅行社
が観光ポイントの目玉にあげているホタル公園に向かった。空は晴れ渡って、数え切れない ほどの星が輝いていた。セーフティジャケットを着て、船頭が漕ぐ四人乗りのボートでセランゴ ール川へ。ここではホタルが逃げないよう、フラッシュと大声が厳禁。
ボートは音もなく、真っ暗闇の静寂の中を進む。やがて前方に、いくつもの円状の巨大な灯り
のようなものが見えてきた。ボートはさらに進む。灯りはマングローブの枝や葉にとまってい る何万というホタルの大群だった。光点は小さいが、まるで短い周期で点滅している巨大なク リスマスツリーのようだ。船頭がマングローブの下にボートを潜らせると、ホタルが頭や顔や 肩のまわりを飛び交う。見上げると、光の輪の中に無数の星が見えた。ボートはいくつもの光 の輪の傍をゆっくりと通り過ぎる。感動的で、素晴らしい、ひと時だった。
ライフジャケットを脱ぐと、下着の半袖シャツは汗でびっしょりに濡れていて、拭いても拭いて
も汗が噴き出してくる。バスに座ってから20分もしないうちに、濡れたシャツが冷房で冷たく なってきた。しばらく我慢していたが、隣の女性が寝ようと目をつぶった瞬間、上半身裸にな って冷たくなった下着を脱いで背中と胸の汗を拭いて、半袖のカジュアルシャツとジャンパー だけになった。
4日目。マレー鉄道でマラッカへ2時間の旅。単線で、ディーゼル機関車。二人座りの座席
が、前方半分が前向き、後方半分が後ろ向きになっている。冷房のききすぎに、乗った途 端、「寒い」の声。おそらく気温は15℃以下だろう。外との温度差は15℃以上。びっしょり 汗をかいたシャツが冷たくなって喉が痛くなってきた。
最後尾に喫茶室があるという。温かいコーヒーが飲みたくなって、隣席のご夫婦を誘って飲
みに行った。やはりみんな寒かったと見えて、ガイドを始め10人以上の同行者がホットコー ヒーを飲んでいる。おまけに窓は開け放れていて冷房がきいていない。今度は暑い。しかし、 風が入ってくるので、なんとか凌げる。下車直前まで喫茶室にいた。
驚いたのは乗降口のドアを開けたまま走っていることと、掃除をしたことがないみたいに黒く
汚れた便器だった。トイレには紙はなく、触る気にならないほど汚いホースが一本出ていた。 用を足した後、お尻を洗うホースである。私は気がつかなかったが、同行者の一人が「トイレ は垂れ流しで、地面が見えた」と目を丸くしていた。
マラッカは多くの史跡が残るマレーシア最古の街である。15世紀の初頭、アジアの交易拠点
として栄えたがポルトガル、オランダ、イギリスの支配下におかれ、やがてシンガポールに取 って変わられたのである。 ![]()
オランダ広場に立つ元オランダ総監の公邸
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